保健室の先生は優しい、かわいい、キレイ、暇そう…世間ではそんなイメージを持つ方も少なくないのではないでしょうか。
私も実際に養護教諭になるまでは、ふんわりとしたイメージで実務の実像がつかめませんでした。
特に暇だろうと思われたり、ちやほやされるのではと思う方が居るかと思います。
しかし、現実は厳しいものです。
これから養護教諭を目指される方への参考になればと思います。
養護教諭は暇なのか?
「暇でいいよね~」「私も養護教諭になればよかった」
これは実際に私が担任を持つ先生に言われたことです。
確かに担任の先生には保護者対応、部活対応、校務分掌を持ちすぎているなど…
毎日残業している先生方がたくさんいました。
私の勤めていた学校では、養護教諭の校務は担任教諭よりも少なく割り当てられていました。
私立でしたので、その分他の先生よりは基本給も安かったですし、そもそもが非常勤のような扱いをされることも多くありました。
養護教諭は暇ではありません
高校と中学に勤務したことがあるのですが、
・毎日同じ生徒がサボりに来る
・学校を辞めたいと毎時間、毎日相談に生徒が来る
・緊急のけがの対応
・保護者対応
・保健指導の準備
・保健員会の準備
・カウンセラーとの打ち合わせ
・校内衛生管理
・行事の準備
・研修会の準備
・こころの調査(いじめや学校生活について)の実施
・日々の雑務…
こういった日々を繰り返していました。
大きいイベントとして生徒健康診断や修学旅行、文化祭の衛生管理、体育祭の救護、教員向けのアレルギー講習会や救急法講習会、その他研修会の開催などの行事も入り、毎日何かに追われておりました。
クレーム対応で心がすり減り、自己嫌悪してしまったり…
生徒が自分の声掛け一つで傷ついて最悪の選択をしてしまうかもしれない恐怖も日々あります。
仕事について同僚に相談してもわかってもらえないことが多くある
養護教諭は学校に1人か2人のことがほとんどです。
そして仕事を理解してくれる同僚はほぼいません。
孤独の中で仕事をしていくのに疲れる養護教諭の先生もたくさんいらっしゃると感じます。
特に若い先生は年齢以上にしっかりしたところを見せないとあら捜しをされることが多いと感じました。
日々の業務を児童生徒の為に頑張っているのに「暇でいいよねー」と言われたら…
「私ってそんなに余裕に見えるのね!」と前向きにとらえ、自分の仕事に自信を失わずにいましょう!
養護教諭の仕事の辛かったこと
何度もやめたい…と思っていました。
これは人によるかと思いますが、私の辛かったことについて書いていこうと思います。
理解されない、立場を下に見られる
生徒と一生懸命向き合っても、周りには「サボらせている」「生徒と遊んでいる」と思われることが多々ありました
保健室に来る生徒の訴えも聴かずに、「授業に出させてください」「甘やかさないでください」「なんで早退させるのか」と言われることもあったなあ。
これは養護教諭として通る道かもしれません。
私は厳しく言う養護教諭ではなかったので、特に生徒を溜まらせていると感じてしまったのだと思います。
もちろん、ただ甘やかすだけではないようにしていました! ←誰への弁明(-_-;)
しかし、私も勤務が長くなるにつれて生徒へ厳しくなっていきましたね…
先生によっては、授業を持たない・クラスを持たないという事が楽でいいな~と感じるのだと思います。
「楽でいいよね。」と言われた時は、「先生も養護教諭を目指されたらいいじゃないですか~」と言っておりました。
不満が溜まりすぎて人にあたってしまう事はよくある事だと思いますが、先生の不平不満まで受け止めているとパンクします…。
なので、気にせずに、あなたとは職務が違うのだから当たり前!!という態度で居ましょう。
そしてだんだんとやり方を認めてもらって、苦情を言われることが減りました。
見下されることを避ける、協力してもらうための行動を取るポイント
・担任の先生と来室した生徒について日々情報交換をする
・教室へ戻す事を第一に保健室でどんな対応をしたか逐一報告
・保健室は止まり木で都合のいい場所であって、生徒の本来の居場所ではないことを生徒に意識させる
・担任の先生、管理職の先生、その他の先生への尊敬と感謝を忘れずにいる
お互いの仕事が見えないからこそ、しっかり伝え、相手を尊重することでだんだんと理解してもらえることができました。本当に小さなことでも話しに行っていました。
常に来室する生徒への疲労、傾聴疲れ
これが私の養護教諭を退職してしまった理由の一つです。
保健室での傾聴って何だろう…という方は下記の引用を読んでみてね
具体的に言えば、「共感的理解」に基づく傾聴とは、聴き手が相手の話を聴くときに、相手の立場になって相手の気持ちに共感しながら聴くことです。「無条件の肯定的関心」を持った傾聴とは、相手の話の内容が、たとえ反社会的な内容であっても、初めから否定することなく、なぜそのようなことを考えるようになったのか関心を持って聴くことです。「自己一致」に基づく傾聴とは、聴く側も自分の気持ちを大切にし、もし相手の話の内容にわからないところがあれば、そのままにせず聴きなおして内容を確かめ、相手に対しても自分に対しても真摯な態度で聴くことです。
働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト「こころの耳」
https://kokoro.mhlw.go.jp/listen/listen001/
真摯に相手を思えば思うほど、自分って何なんだろう…と思う日々です。
日々の自分の体調もありますし、相手に合わせていくのがとても難しい日もあります。
特に、優先準備を間違っていないか?という来室に対してはイライラしてしまう事を避けられませんでした…
私の未熟さですね。
【養護教諭体験話】
1.授業中に話を聴いて欲しいと来る生徒(クラスメイトや家庭との関係は良好)
放課後、恋愛がうまくいかず泣いている女子生徒1名が保健室へ。
冗談を交えながら話を聴き、励ましているとしばらくして生徒も「話せてよかった!」と帰っていったのですが…。
翌日、授業中にクラスメイトを連れて来室。
「また彼を思い出すと辛い。」「好きな人に振られてクラスに居たくない…」との訴え。
その時来室者数もかなり多く、体調不良者とケガの対応でばたばたであったこともあり、
「今は授業中だから休み時間か放課後来よう。」
「涙が止まったら二人とも教室に戻ろう。」
という事を伝え教室へ返しました。
〈指導したこと〉
・授業よりも本当に「今」話すこと、聴いてもらうこと事が必要なのか
・授業中に保健室に友達と恋愛相談に来ることについては認める事が出来ないこと
2.一度悩み相談を聞いたら授業をさぼるようになってしまった(友人関係良好)
授業中に悩みを抱える生徒(家庭とクラブ活動について)が来室。
悩みを打ち明けてくれるまでの間、一日1時間どこかの授業を休むようになっていった。
1週間ほどして打ち解け、養護教諭とも会話をするようになった。
その後、抱えていたトラブルは解決したものの、上手くいかない事があると授業に出られず、頻回に渡って
保健室へ来るようになってしまった。
〈指導したこと〉
・自信が持てるように頑張っていることにスポットを当て励ます
・不平不満を受け止めて批判はしない
・保健室のルールがある事、それを守らないといられない事
・保健室にいる時間を制限する
働いて居れば児童・生徒の表情やこれまでの行動でである程度のことは読み取れると思います。
だからこそ、イライラしたり納得いかなくて厳しい言葉や対応になってしまう事も…
・話を聴いてすべて受け止めていると、知らずうちに相手と自分の気持ちや感情がシンクロして病んでいってしまう 事があります。踏み込み過ぎないこと、相手を「変えてあげよう」と思わない事が大切です。
・相手によっては甘えてもいいんだ!と際限なく寄りかかってくる場合がありますし、その場合、自分に対しての敬意や思いやりは無い状態です。消耗してしまいます。
相手に合わせて思い通りにさせてあげる事が必要な時もあります。
それが「自分が嫌われたくない」という理由で合わせているのであれば辛くなっていくだけになってしまいます。
私は相手の事を過剰に気遣うことをしすぎて精神的に辛くなる時がありました。
学校である事、「教員」である事の線引きがとても大切です。
自分も生徒も人生は自分で切り開いていくしかない!!
辛い時の乗り越え方
業務について1人で抱えず相談する
連携の重要性が何度も提言されている現在、お互いの職務を理解しようとしない人は少ないかとは思いますが、
激務の先生方に相談したり、仕事を振るのって「そんなことも出来ない奴」と烙印を押されそうで怖いですよね。
どうせ分かってもらえないよね…
でもそんな風に思ってしまうと、周りもあなたの仕事を本当に何も分からないままになってしまいます。
周りも忙しい状況だからこそ、目を向けてもらわなければいけないのです。
本当に重要な問題がぶち当たった時に「今までどんな風にやってたの?」と言われてしまわないようにするためには、
・管理職に逐一相談する
・来室児童・生徒の担任と小さなことでもいいので会話をする
・仕事を安易に引き受けない
・他の学校の養護教諭とつながる
報連相が信頼関係を築きます!!!
1人で抱える事が少なくなると仕事が楽になっていきます。
仕事は適度に休む
教員は部活に残業に休日が無いですよね…
養護教諭も学校によっては休みがほとんどなく、残業続きの方もいらっしゃると思います。
「休めないよー!」
と思っても無理矢理休む事が大切です。
早退だっていいのです。
ほんと休みがないと心が荒みます。→私は特にそうでした。
ライフワークバランスを「周りにどう思われるか」で壊すのはもったいないです。
普段の頑張りを癒しましょう!!
転職も視野に入れる
これは本当に悩ましいです。
せっかく資格を取って狭き門の養護教諭になったのに…
と思い悩みます。私もそうでした!!
直ぐに退職するのは…という方は
いつでも辞められる!という気持ちで居れば楽になります。
私は複数配置のストレス・傾聴疲れ・業務量の増加に重なった所へ、家庭の問題が加わり退職しました。
あれだけ辞めたい…と思っていても、実際辞めなくてはいけない状況となると「続けたい!」という気持ちになりました。
それでも時間的にも精神的にもしんどかったので、病む前に退職したのですが…
辞めてよかったことは
・時間がある!!!
・周囲との調整力や傾聴、カウンセリング力はとても役に立つ
・視野が広がった。もっとこうしたい!という思いが出てきた
こんな所ですかね?
少なくない!!!??と思われる方もいるかと思います。
でも、学校に勤めている時にできなかったことにチャレンジできるのは楽しいです。
転職したい!と思ったら転職サイトに登録してみる事をおすすめします。
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私も一時期ずーっと眺めておりました…
いつも女性向け求人専門のサイトを利用して転職しております。
もし辞めた事に後悔があるのなら、また養護教諭になればいいのです!!
本当にやりたい!と思ったらまた叶えるために行動できます。
養護教諭は暇じゃないしちやほやされる事もない
芸能人ばりの美人さんだったらずっとちやほやされるかもしれません。
でもいくら若くて美しくても、見慣れるものです。
生徒も教員も実際の仕事ぶりで判断・評価をしてきます。→かわいかったら許されることも有る…笑
暇ではないし思い悩むことも多いですが…
自分の人生をどう作るかです!!
自分軸を持っているからこそ、児童・生徒にも教員にも心にゆとりをもって寄り添えると感じています。
▼複数配置に悩む方はこちらも
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